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AWS Wavelengthを活用した自由視点映像の配信に関する実証実験

2021/04/07

みなさま、KDDIでXR(AR/VR/MRの総称)に関わるサービスの企画開発を担当している三功(さんこう)です。

先月、大阪への「AWS Wavelength Zone」拡張について、KDDIでIaas/Edge Computingのプロダクトマネージャーを担当している佐藤より本ブログでご紹介をさせて頂きました。あわせて、KDDI社内の取り組みとして、株式会社KDDI総合研究所(本社:埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:中村 元)、株式会社ユビタス(本社:東京都港区、CEO:Wesley Kuo)と共に、AWS Wavelengthをサービスプラットフォームとした自由視点映像の配信に関する実証実験開始についてもご報告させて頂きました。

本日は、AWS Wavelengthを活用した自由視点映像の配信に関する実証実験の結果について詳細をご紹介いたします。  

KDDIにおけるAWS Wavelengthを活用した実証実験のご紹介

自由視点映像はKDDI総合研究所が研究開発した技術であり、複数のカメラの映像から抽出した選手などの人物領域やスタジアム背景を、3次元コンピュータグラフィクス(3DCG)モデルで表現することにより、実際にはカメラを配置できない場所・アングルを含めて、あらゆる視点からの映像視聴を少ないカメラ台数で実現するものです。 この技術を、GPU仮想化技術とクラウドストリーミング・プラットフォームの先進企業であるユビタス社のテクノロジーを通じて配信するという実証実験となります。

自由視点映像は複数のカメラ映像や3DCGモデルから構成される大容量コンテンツであり、再生・レンダリングには強力なマシンパワーを必要とします。そのため、お客様のスマートフォン向けに安定して自由視点映像を配信するためには、高精細なクラウドゲームと同様に、GPUを搭載した高性能なサーバを活用したクラウドストリーミングによる配信が有力な方法の一つと考えられております。

一方で、クラウドストリーミングの重要な技術課題として、通信の遅延時間があります。具体的には、お客様のUI操作(スマホのタッチイベント等)がクラウドサーバに送信され、サーバ側でUI操作に応じた視点の映像をレンダリングして、その映像がお客様のデバイスで再生できるまでの一連処理の遅延時間を出来る限り低減する必要があります。この遅延時間が大きいと、お客様の体感品質は著しく低下してしまうため、5GやMulti-Access Edge Computing (通称MECと呼ばれる、お客様の近くに設置されるサーバの総称)の活用により遅延を最小化することが非常に重要となります。

今回の実証実験では、AWS Wavelengthを活用することで、お客様のスマホ操作から映像が切り替わるまでの遅延時間がどこまで短縮できるのかについて、主に定性面での検証を実施しました。具体的には、自由視点映像の再生プログラム、およびユビタス社のクラウドストリーミング・プラットフォームをAWS Wavelength Zone(東京)にデプロイし、au 5Gネットワークを介してスマートフォンから好きな視点の映像を再現可能とする環境を構築することで、自由視点映像の視聴に関する体感品質の評価を実施しました。

スマートフォン操作の様子はこちらの動画の通りです。

撮影協力:グランパスみよしFC

如何でしょうか?スワイプやピンチイン・アウト等のスマホ操作による視点変更によって映像が切り替わるまでの遅延が小さく、体感品質として全くストレスなく自由視点映像を楽しむことができました。ユビタス社のクラウドストリーミング技術は遅延時間が短く、インターネットを経由する通常のクラウドにおいてもストレスを感じることなく体感できておりましたが、Wavelengthと5Gモバイルネットワークを組み合わせることで、より一層体感品質が向上したように思われます。

自由視点映像のサービス提供においては、今回ご紹介した遅延の問題だけでなく、1サーバで収容可能なユーザ数の問題もあります。AWS Wavelengthの場合、需要に応じてインスタンス数を増やすことで、容易にスケールアップを実現できることも魅力の一つであり、今後の商用サービスにおいても積極的に活用していければと考えております。

  如何でしたでしょうか。AWS Wavelengthの魅力は他のユースケースにおいても色々と見えてきており、今後も本ブログで定期的にご紹介していければと思いますので、ご期待頂けますと幸いです。  

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