2024/03/15
こんにちは。KDDIアジャイル開発センターの高橋です。
今年の1月にベトナムのホーチミン市に出張に行ってきました。 今回の出張の目的は弊社のビジネスパートナーであるアットウェア様のベトナムメンバーとのチームビルディングでした。 それがとても良い経験となりましたので、少し間が空いてしまいましたがその内容に関する情報をお届けします。
はじめにホーチミン市について簡単にご紹介します。
成田から距離にしておよそ4300km、フライト時間にすると6時間程度ほど離れた都市がベトナムのホーチミン市です。
出発時、日本は最高気温が10℃行くかどうかという気候でしたが、ホーチミン市に到着すると気温が夜でも30℃近くあり、完全に夏でした。
国連の統計によると、ホーチミン市には2022年時点でおよそ938万人が住んでいるとのことであり、とても栄えていることがわかります。 東京都総務局統計部の調査によると、2023年8月時点での東京都23区の人口がおよそ1000万人ですので、それに迫る人数が住んでいる都市と考えるとその規模が想像しやすいのではないでしょうか。
情報元:
ホーチミン市の人口:Demographic Yearbook – 2022 - Table 8 - Population of capital cities and cities of 100 000 or more inhabitants: latest available year, 2003-2022 より https://unstats.un.org/unsd/demographic-social/products/dyb/documents/DYB2022/table08.pdf#page=57
東京都の人口:都庁総合ホームページ - 報道発表資料 より https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/08/30/05.html
さて、システム開発においてチームビルディングはどのような役割を果たすのでしょうか。
案件やメンバーによって、チームビルディングとして具体的にどのようなことを行うかは大きく異なりますが、 チームのメンバーが互いのことを深く知り、協調性を高め、その案件における共通した目的意識を持つきっかけになるという点については、どのような案件やメンバーだろうと共通しています。
納期が迫っているからとチームビルディングをないがしろにしてしまうと、案件の立ち上げ当初はうまくいっているように見えるプロジェクトであっても、共通した目的意識やビジョンがないと数年の間に向かうべき方向性がわからなくなり、チームがバラバラになってしまうリスクがあります。 このような状態になると、価値の低いフィーチャに多くのコストをかけてしまう、開発メンバーが離れてしまうなどの形でプロジェクトに悪影響をもたらします。
昨今ニーズが高まっているオフショア開発やニアショア開発ですが、これらの開発手法ではチームメンバーが遠隔地にいる前提となります。 場合によってはプロジェクトのキックオフからローンチまで一度もオンサイトで対面することなく仕事を進める場合もあるかもしれません。 そこで、キックオフのタイミングで現地に赴き質の高いチームビルディングをすることで、その後物理的に離れた状態であっても円滑なコミュニケーションを取れることが期待できます。 オフショア開発やニアショア開発においてはなかなか頻繁に現地に行くことは難しいでしょうから、初回のチームビルディングが非常に重要な意味合いを持ちます。
また、昨今ではオンサイトとリモートワークのハイブリッドが主流になってきており、 毎日でなかったとしても週の半分程度はリモートワークを実践している企業が増えてきているように思います。 このような背景から、同じオフィスに職場があるような環境での開発業務であってもチームビルディングの重要度が増してきていると言って良いでしょう。 もしキックオフのタイミングでなかったとしても、最近メンバー同士のコミュニケーションがうまくいっていないと感じているチームであれば、 改めてチームビルディングを実施することでコミュニケーションの活性化につながるのではないでしょうか。
今回はチームビルディングとして主に以下の内容を実施しました。
自己紹介(名前、趣味、経歴などの基本情報の共有)
偏愛マップ
ご近所さんを探せ
ドラッカー風エクササイズ
ジェスチャーゲーム
チームフラッグ
いずれも有名なワークですので、ここではそれぞれの詳細については割愛します。
ワークによってはシンプルに盛り上がるものもあれば、ただ一緒に仕事をするだけでは決して知ることのできないその人の価値観や考え方について知ることができるものがあったり、 そのメンバーがチーム内でどのような役割を担うのかを知ることができたりと、非常に多くの気づきを与えてくれました。
私は今回スクラムマスターとして案件に携わっていく立場であり、 エンジニアとして一緒に設計したりコードを書いたりするわけではないため、 もし今回のチームビルディングがなければベトナムメンバーとの距離感がかなり生まれていたのではないかと思われます。
しかし、今回現地に直接赴いて5日間同じ場所で過ごしたことで、 帰国後にリモートワークに移行してからも継続して良いコミュニケーションが取れているように思います。
〜自己紹介〜
〜ジェスチャーゲーム〜
〜ドラッカー風エクササイズ〜
〜偏愛マップ〜
今回のチームビルディングに際し、現地に実際に行くことで以下の効果を得ることができました。 また、対面でコミュニケーションを取ることでチャットベースや音声通話だと流されてしまうような軽い疑問についてもその場ですぐにやりとりして解消することができました。
各チームメンバーについて解像度を高めることができた
人となり
大事にしている価値観や考え方
得意なこと、苦手なこと
チームにおける役割、振る舞い
趣味や興味のあること
今回の案件について共通認識を持つことができた
目的の共有
疑問解消
以下の点で開発プロセスに効果があった
自己紹介や前提知識のすり合わせが完了していることにより、リモート体制に移行してもスムーズに業務を進めることができた
英語を使ったコミュニケーションで多少カタコトでも言いたいことが伝わった (今回の案件ではブリッジSEは置かずにベトナムメンバー、日本メンバー全員で英語で直接話しています)
楽しい雰囲気を継続したまま開発活動が進められている
今回一緒に案件を進めていただくことになったアットウェア様の現地メンバーの印象ですが、大変優秀な方ばかりでした。
20代前半〜中盤という若いメンバー3名とプロジェクトを進めることになったのですが、 今回の案件に必要な技術的なスキルセットを持っていることは当然として、 皆さん自分の意見をしっかりと持ち、打ち合わせの際には自発的に発言してくれます。 また、皆さん当たり前のように英語を話すことができます。すごいですよね。
当初、会議のファシリテート(進行役)は私がやらなければと考えておりましたが、 メンバーが自主的に交代制で各打ち合わせの進行をやってくれるようになったため、 私は会議の内容を俯瞰的に見ながらコメントや質問をすることにフォーカスすることができています。
- 今回の案件では誰にどのような価値を届けようとしているのか - その期限はいつなのか
上記のような案件の根幹となる部分についても常に意識しながら業務に臨んでいただけるため、スキルセットのみならずそのマインドセットにも刺激を受けました。
私は2016年ごろから1年半ほどベトナムのダナン市というところに出張していたことがあるのですが、バイクが主流で自動車は少数であったり、夜になると繁華街以外はかなり暗くなったりと、当時はあまりベトナムに対して近代的な印象を持っておりませんでした。 しかし今回ホーチミン市に来てみて、街中の高層ビルの多さやお世話になったオフィス内の設備などから先進国とほぼ変わらない発展状況という印象を受けました。 ダナン市とホーチミン市という場所の違いも当然あるのでしょうが、先述のベトナムメンバーの優秀さと相まって、私の中でのオフショア開発ならびにベトナムの印象が大幅にアップデートされることとなりました。
まだホーチミン市を訪れたことがない方はぜひ一度来てみてください。