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AWS Wavelength の魅力をご紹介(設計・使い方編)

2020/12/23

KDDI で普段はCCoE(社内のクラウド利用推進)を担当している松本です。 先の記事で弊社佐藤からAWS Wavelength リリースまでの取り組みをご紹介しておりますが、私もAWS技術担当として同プロジェクトに携わらせて頂いた立場から、「AWS Wavelengthの設計・使い方」、「具体的なユースケース」についてお伝えしていきます。本記事ではまずは前者についてご紹介します。  

AWS Wavelengthとは?

まず、そもそも「AWS Wavelengthとはどんなもの?」についておさらいになりますが、AWS社が提供するEdge Computingのサービスであり、キャリアユーザーに対し超低遅延のアクセスを提供することが可能になっています。

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図1:AWS Wavelengthの構成

 ポイントとして2点あり、一つ目が、Wavelength側でキャリア網(日本ではKDDI網)に直結する「Carrier Gateway」が用意され、ユーザーはキャリア網からインターネットを経由せずに直接Wavelength Zoneにアクセスすることができること、二つ目が既存のAWSならではの設計(VPC/Subnetなど)の考え方がそのまま利用できることです。  

AWS Wavelength 提供機能

AWS Wavelength の主な提供機能の簡単な紹介です。2020/12現在、基本的にはEC2をはじめとするIaaSベースのサービスが提供されています。

機能一覧表

表1:提供機能一覧(主な機能)

構築手順

環境構築の手順の概要は以下になります。普段AWSでシステム構築をされている方であれば、特に違和感なく実施可能と思います。

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図2:構築手順

1. まず、リージョン側にVPC/Subnetなどを作成します。 2. Wavelength Zoneを指定してSubnetを作成します。 3. Carrier Gateway(キャリア網と直結するゲートウェイ)を作成します。リージョン側でInternet Gatewayを作成するのと同じイメージです。さらに、Carrier Gatewayをデフォルトルートに指定したRoute Tableを作成し、Subnetに紐づけます。 4. Wavelength Zone内に作成したSubnetを指定して、Instanceを起動します。次にCarrier IP(Carrier Gatewayを通じて外部と通信するためのグローバルIP)を取得します。リージョン側でEIPを取得するのと同じイメージです。さらに取得したCarrier IPをInstance に割り当てます。 5. 以上の設定により、Carrier IPを用いて外部と通信可能になります。

AWS マネージメントコンソール(GUI)でのステップバイステップの実施手順についても、別サイト(Qiita:【初心者】AWS Wavelengthを使ってみる)に投稿しておりますので併せてご参照ください。  

通信要件

「AWS Wavelengthではどこからどこに通信できるの?」という点を少し説明します。 現時点(2020/12)でのサービス仕様に関する注意点は以下になります。

・東京のWavelength ZoneのInstance(例:Webサーバ)にアクセスできるのは、キャリア(KDDI)網のユーザーからのみになります(他のネットワーク(固定網、他社キャリア網など)からはicmpのみ可能となります)。 ・KDDI網からのアクセスであれば、5G網だけでなく、4G網からも接続可能です(AWS Wavelengthは5Gと併せて紹介されることが多いため、5Gでの接続が必須?と誤解される場合がありますが、4Gでも大丈夫です)。

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図3:通信要件

 ・VPC内においては通信制限はありません。例えば東京リージョン内のInstanceとWavelength ZoneのInstanceが通信可能です。 ・キャリア(KDDI)のユーザーとの通信制限はありません。 ・Wavelength Zone内のInstanceから、Internetへ向けてのicmp/tcpでのoutboud通信が可能です。これはWindows Updateやyum updateなどの作業を想定したものです。 ・一般ユーザー(固定網、他社キャリア網など)からは、Wavelength上のInstanceにはicmpのみ可となります。  

まとめ

本記事では、「AWS Wavelengthとは?」「どのように設計、設定するのか?」について簡単にご紹介させて頂きました。今後、複数のWavelength Zoneを同時に使用するなど、より複雑な構成についても検証していく予定です。 AWS Wavelengthは2020/12現在、どなたでも利用可能(事前承認は必要)となりましたので、「ネットワーク遅延に課題がある」という方はぜひご利用ご検討ください。  

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